高齢で食が細くなっている・仕事が忙しくおにぎりやパンのみで食事を済ませているといった人は、知らないうちに栄養失調に陥っている可能性があります。本記事では栄養失調について、概要や症状、主な原因のほか、栄養失調を予防・改善するために有効な対策についても詳しく解説します。日々の食事内容に不安がある人は、ぜひ参考にしてください。
そもそも栄養失調とは？
栄養失調と聞くと、貧しい地域や食料が足りていない時代の病気であるという印象をもつ人が多いでしょう。しかし、現代においても知らず知らずのうちに栄養失調に陥り、体の不調を感じる人も少なくありません。ここでは、栄養失調の概要や具体的な症状について詳しく解説します。栄養失調とは
そもそも栄養失調とは、名前のとおり必要な栄養が不足した状態です。主にエネルギー・たんぱく質・ビタミンなどの栄養素が足りていないほか、栄養素を摂取しても消化や吸収、分解、合成できないというケースも含まれます。栄養失調は低栄養とも呼ばれ、そもそもの食事量が少ない場合に引き起こされると思われがちです。しかし、実際には食事量が多い人であっても特定の栄養素が不足していると栄養失調であると判断されます。
また、栄養失調は年代や性別に関係なく引き起こされますが、中でも高齢者の発症リスクが高い傾向です。
新型栄養失調の概要
栄養失調の中でも、とくに現代人に多く見られるものに新型栄養失調が挙げられます。新型栄養失調は従来までの栄養失調と明確に区別されており、しっかりと食事を取っているにもかかわらず、一部の栄養素が不足している状態です。新型栄養失調は肥満体型の人、過栄養の人でも引き起こされる可能性があり、隠れ栄養失調とも呼ばれています。日本人を対象とした栄養摂取に関する調査によると、すべての年齢層においてカルシウムが不足しているほか、たんぱく質、食物繊維、カリウム、鉄なども不足しやすいことが分かっています。
また、ビタミンやミネラルなども不足しやすいため、栄養バランスが整った食事を意識することが重要です。
栄養失調の具体的な症状
栄養失調の主な症状は、体重減少、筋力の低下、冷えなどです。また、疲れを感じやすくなったり、免疫力の低下により風邪にかかりやすくなったりすることもあります。女性の場合、月経周期が乱れる・無月経になるといった症状につながるケースもあるため、注意が必要です。
栄養失調になる原因
栄養失調が引き起こされる原因はさまざまです。ここでは、栄養失調の主な原因について詳しく解説します。無理な食事制限
とくに若い女性に多いのが、ダイエットによる無理な食事制限を原因とする栄養失調です。炭水化物を摂らない・食事量を極端に減らすなどのダイエットを続けていると、必要な栄養素を十分に摂取できず、低栄養に陥ります。また、下剤の乱用も栄養失調となり得るため注意しましょう。
代謝系疾患の影響
甲状腺の病気などを患っている人は、通常よりもエネルギーや栄養素の消費量が増加します。身長や体重から算出した栄養素の摂取目標を満たしていても、消費ペースが速いことで低栄養状態となるケースもあるため、注意が必要です。加齢
加齢そのものが栄養失調につながることはありませんが、高齢になると筋肉量の低下などから食欲不振に陥ったり、咀嚼が難しくなったりすることで栄養素を効率的に吸収できないため、知らず知らずのうちに低栄養状態となっていることも珍しくありません。また、単独世帯や高齢夫婦のみの家庭では食事の用意に負担を感じてかたよった献立になりやすいこと、足腰の機能低下により買い物の頻度が減ること、生活リズムの乱れにともなって食生活も乱れがちになることなども、栄養失調を引き起こす原因となり得ます。
栄養失調の予防・改善策
栄養失調を予防・改善したい場合には、日々の食生活や習慣を見直すことが重要です。ここでは、栄養失調の予防・改善に効果的な対策を3つ紹介します。バランスの取れた食事を心がける
栄養失調の予防と改善には、バランスの取れた食事が不可欠です。お米・パンなどの炭水化物、肉・魚・卵などのたんぱく質のほか、野菜、乳製品、果物などをバランスよく取り入れた献立で、さまざまな栄養素をまんべんなく摂取できるよう意識しましょう。とくに朝食はパンのみ、ヨーグルトのみなどの偏ったメニューになりがちですが、ゆで卵やバナナ、ミニトマトなどをプラスするだけでも栄養バランスが整います。
