高齢になると、噛む力や飲み込む力の低下などから、思うように食事をとれなくなることがあります。その結果、栄養が偏ったり、健康に影響をおよぼしたりすることも少なくありません。よって、高齢者にとって食べやすく、栄養バランスの整った食事を整える工夫が求められます。この記事では、高齢者の食事で気を付けるべきポイントを紹介します。
高齢者の食事で気をつけるべきこと
人は年齢を重ねると、体のさまざまな機能に衰えを感じるようになります。食事をとるうえで欠かせない「噛む」「味わう」「飲み込む」といった機能も例外ではありません。これらが低下すると、食事量の減少や特定の食品への偏りが生じ、健康を損なう要因となることがあります。味覚の変化
加齢や服用している薬の副作用によって、味を感じる機能は次第に衰えていきます。これにより、従来の味付けでは物足りなくなり、濃い味を求める傾向が強まることがあります。塩分の摂りすぎは高血圧や腎臓病のリスクを高めるため、注意が必要です。また、味覚の低下が食への関心を薄れさせ、食欲不振につながることも少なくありません。
嚙む力の衰え
歯を失うことや義歯の違和感、さらに顎の筋力低下などによって、硬い食材や繊維質を含む食品を敬遠するようになります。結果として、やわらかく食べやすい食品に偏り、栄養バランスを崩す危険があります。飲み込む力の低下
加齢により唾液の分泌量が減少すると、口の中で食べ物をまとめにくくなります。その結果、食道ではなく気道に入り込んでしまい、誤嚥性肺炎を引き起こす危険性が高まります。高齢者の健康に深刻な影響をおよぼすため、日常の食事においてとくに注意が必要です。高齢者が食べやすい食事をつくる方法
年齢を重ねると、体の機能が少しずつ低下し、食事が思うように摂れなくなることがあります。しかし、食べるという行為は栄養補給だけでなく、心の充足や生活の質向上にも直結します。よって、高齢者にとって食べやすく、かつ栄養をしっかり摂れる食事を整える工夫が大切です。食事量を確保する
高齢者は若い世代に比べて身体活動量が減るため、一日に必要なエネルギー量は少なくなります。ただし、極端に食事量を減らすと、栄養不足や体力低下を招きかねません。個々の活動レベルや体調に応じて、無理なく摂取できる量を心掛けることが大切です。
不足しがちな栄養素を重点的に
加齢による筋力や骨の衰えは、生活の自立度に大きく関わります。体力の低下や「やせ」が目立ち始めたら、フレイルへの注意が必要です。カルシウムやビタミンDを含む食品で骨を丈夫にし、たんぱく質をしっかり摂って筋肉量を維持することが予防につながります。魚や肉、卵、乳製品、大豆製品をバランスよく組み合わせ、主食・主菜・副菜も摂ることが望ましいでしょう。
塩分は控える
高齢者は味覚が鈍るため、濃い味を好む傾向が強くなります。結果として知らないうちに塩分量が増え、高血圧や腎疾患を悪化させる恐れがあります。だしや香辛料、酢や柑橘類の酸味を活用して、塩分を抑えながらもおいしく仕上げるのが効果的です。
食べやすいよう調理する
食材の調理方法にも工夫が求められます。肉は薄切りやひき肉を用いると食べやすく、硬い部位は筋を切ったり叩いたりして柔らかくするのが有効です。圧力鍋を使えば厚みのある肉もやわらかく仕上がります。野菜は繊維を断つように切ると噛み切りやすくなり、加熱後につぶせばさらに食べやすさが増します。芋や豆、かぼちゃなども加熱してなめらかにすると安心です。
また、飲み込みに不安がある場合は、とろみをつける工夫が誤嚥性肺炎防止に有効です。片栗粉やとろみ剤を使えば口の中でまとまりやすくなり、誤嚥のリスクを減らせます。
高齢者の「孤食」に要注意
高齢になると、食事の環境そのものにも注意が必要です。近年注目されているのが、高齢者の「孤食」の問題です。孤食とは
孤食とは、ひとりで食事をとることを指します。孤食の習慣が続くと食卓は簡素になり、品目数が減りやすくなります。味気ない献立は食欲の低下につながり、栄養の不足を招く要因です。高齢者はただでさえ筋肉量や体力が減りやすいため、栄養不足が進むとさらに活動量が落ち、心身の衰えに拍車をかける悪循環に陥りやすいのです。
誰かと食べるのが大事
高齢者にとっては、食事が食べやすいだけでは十分とはいえません。誰かと一緒に食べる共食の機会をもつことが、食欲や栄養状態の維持に大きくつながります。家族と同居している場合は、できるだけ声をかけ合い、一緒に食卓を囲む習慣を大切にすることが望まれます。一人暮らしであれば、地域のコミュニティ活動やデイサービスを活用して、食事をともにする機会を増やすとよいでしょう。会話を交わしながら食べることで気持ちも前向きになり、自然と食欲も高まります。